国連UNHCR難民映画祭2017

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東京上映(渋谷ユーロスペース)10/6 ティル・シャウダー監督&プロデューサー:サラ・ノジューミ氏によるトークイベントレポート

2017年11月27日

新着情報

2017年10月6日(金)渋谷ユーロスペースで「神は眠るが、我は歌う」の上映後、本作品の監督であるティル・シャウダー氏とプロデューサーのサラ・ノジューミ氏をお迎えしてトークイベントが開催されました。司会の国連UNHCR協会・難波から、まず主人公シャヒーンさんとの出会いに関して質問がありました。

シャウダー氏:
「私たちは2年前『イラン・ジョブ(The Iran Job)』http://www.partnerpictures.com/portfolio/theiranjob/という映画を製作していました。その映画で使用した音楽を通じてシャヒーンを知ったのです。プレミア上映に彼を呼んだのですが、当時彼にはファトワ(宗教令)による処刑宣告が出ておりリスクが高かったため実現しませんでした。私たちは彼に強い興味を持ち、その後1年ぐらいやりとりがあって今回の映画が実現したのです」

東京上映(渋谷ユーロスペース)10/6 ティル・シャウダー監督&プロデューサー:サラ・ノジューミ氏によるトークイベント
難波:
「映画出演によって彼のリスクは増えなかったのですか?変装の種類など明らかになってしまったのでは?」

シャウダー氏:
「いいえ、彼には100万人以上のフェイスブックフォロワーがいますし、映画が公開されさらに有名になることで彼への攻撃はしにくい状況になったと思います。また彼は警察から頻繁に外見を変化させるよう言われていましたが、ついにはそれが趣味に高じてしまったところがあり、公にパフォーマンスで公開しているので映画はリスクにはならなかったのです」

東京上映(渋谷ユーロスペース)10/6 ティル・シャウダー監督&プロデューサー:サラ・ノジューミ氏によるトークイベント

難波:
「アメリカ、ドイツでの上映も行われましたが、国によって観客の反応は違いますか」

シャウダー氏:
「映画そのもののテーマは、アーティストが反体制の闘いを続けるという普遍的なものであり、ストーリーの背景にある状況の複雑さへの理解などふくめ各国の反応は非常によく似ています。ただ舞台となったドイツの観客には、現実に起きている難民問題と重なり、より強く訴えるものがあるのではないでしょうか。」

難波:
「ティル監督は新作『Warriors of Faith』 でもシリアの難民をとりあげています」

シャウダー氏:
「この映画ではドイツのアラブコミュニティで活動するイラク難民の学生グループをとりあげています。彼らは過激なパフォーマンスによりアラブ社会の変革を訴え、同時に難民はテロリストではないとメッセージしています。もともと『神は眠るが、我は歌う』は、ヨーロッパでの人道危機が起こる前に製作した映画だったので、当時は難民問題というよりアーティストへの興味がありました。その後の社会情勢の大きな変化から今は難民問題への強い関心が生まれてきたのです。」

最後にお二人からメッセージがありました。

ノジューミ氏:
「アメリカでは難民支援のためにいくつものコミュニティがあり、物品などの寄付だけでなく、語学教育や就労先の紹介までさまざまな支援を市民が行っています。日本では難民とはどういう人たちなのか、まず映画で知ることも大切だと思います。」

シャウダー氏:
「今ドイツでは難民に関して世論は二分されています。しかし心ある人は自分でできることから支援を行っています。日本では難民も少ないのですが、それでも皆さんがたとえばこの映画祭を周りの人々に知らせることで世間の関心を高めてもらう、そのような行動が大事なのだろうと感じています。」