国連UNHCR難民映画祭2017

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国連UNHCR難民映画祭、開幕レポート

2017年10月16日

新着情報

国連UNHCR難民映画祭 東京会場表参道スパイラルホール

9月30日(土)、東京は表参道のスパイラルホールにて第12回国連UNHCR難民映画祭がスタートしました。UNHCR駐日事務所副代表の河原直美、国連UNHCR協会事務局長の星野守から、現在も悪化する難民状況の説明と来場者への感謝の言葉があり、東京を皮切りに全国6都市で開催する映画祭の開幕が告げられました。
 
オープニング上映作品となる『はじめてのおもてなし』の上映後、マルチな分野で活躍される作家・クリエーターのいとうせいこうさん、イラン生まれで女優・タレントのサヘル・ローズさんをお迎えして、トークイベントが開催されました。司会を務める国連UNHCR協会広報委員の武村貴世子が、この映画が昨年ドイツで400万人を動員した大ヒット映画だったと紹介すると、いとうさんが「日本では今なかなかコメディは難しいのですが、ドイツでこのコメディがヒットしたことが素晴らしいですね。難しい難民問題を敢えてコメディで表現したことに意義があるし、監督の努力があったと思います」とコメントしました。

ローズさんも「難民問題という難しく重いテーマでありながらも、笑いながらすっと観られる、また家族の日常の問題も織り交ぜながら深いメッセージがあると思いました」と感想を述べました。ご自身も女優であり中東出身者として、この映画のように表現することで人々に何かを発信するということが大事だと語りました。
 
司会の武村が映画祭ポスターのビジュアルに触れ、キャラクターのイラストに顔がないことは、ここに自分がもし難民になったらという想像をしてもらいたかったと説明をしました。いとうさんは、ご自身が国境なき医師団の活動に同行された経験からコメント。「難民問題は遠い国のできごと、違う人々のことと思いがちですが、実は我々にも起きうることです。自分もギリシアの難民キャンプ、直近はウガンダも訪れましたが、そこでは中流以上だなと思われる人がたくさんいました。ということは、我々が今難民になってもおかしくない、他人ごとじゃないのだと感じました。」
 
ローズさんもご自身が日本で支援されている難民の現状から「皆普通の人たちで、ただ祖国で逃げ場を失ってしまった人たちです。私の祖国から難民として日本に来られる方も増えてきたのですが、大変な苦労をしています」と応じました。
映画祭のラインナップに入っている『シリアに生まれて』というドキュメンタリーもお二人はご覧になっています。祖国を逃れた人々がその後直面する問題、特に子供が背負う状況に対して心が痛むという感想がありました。
 
いとうさんは「我々が今、難民の子どもをどう扱うか。その結果、彼らが成長した20年後どのような形で返ってくるか。考えさせられます。」とコメントされました。
いとうさんはまた、「難民が求めていることは、まず自分たちのことを知ってもらいたいということではないでしょうか。何百万人を救わなければとヘビーに考えすぎても足がすくんでしまう。難民問題をまず“知る”ということが大切」と意見を述べました。
ローズさんも「まずできることから始めること、映画を観ることも第一歩です。我々にとって大事なのはまず同じ人間として共感を持ち、その輪を広めていくことだと思います」とコメントされました。
 
いとうさんは最後に難民キャンプで出会った女性の「自分は人の役にたちたいのだ」という言葉を紹介され、「今日みなさんが映画を観て感じたことを周りの人々に伝えてください」と締めくくりました。
 
お二人からの「共感」とその輪を広げる大切さというメッセージとともにトークを終了しました。