明星大学人文学部国際コミュニケーション学科 学生インタビュー

明星大学人文学部国際コミュニケーション学科 学生インタビュー

第13回UNHCR難民映画祭では、2019年7月31日まで、映画を通して難民問題への理解と共感を広げるという本映画祭の取り組みに賛同してくださる学校・法人パートナーズによる、パートナーズ上映を開催中です。11月17日(土)には、明星大学が『ソフラ 〜夢をキッチンカーにのせて〜』の特別上映会を開催します。この上映会は人文学部国際コミュニケーション学科の選択科目「映像翻訳フィールドワーク」を履修中の学生が、上映会の企画・運営・宣伝のすべてを行います。映画やドラマなどで目にする字幕を中心とする「映像翻訳」について学び、『ソフラ 〜夢をキッチンカーにのせて〜』の字幕を制作しました。翻訳を担当した学生の方々にお話を聞きました。

――『ソフラ 〜夢をキッチンカーにのせて〜』をご覧になっていかがでしたか?
「最初から最後まで明るくなれる作品で、難民を題材とした映画に対するイメージが変わりました」

「難民問題を題材とした映画だと事前に聞いていたので、かなり重い内容なのだと想像していましたが、実際に観てみたらサクセスストーリー寄りの展開でとても素敵な作品だと思いました」

「強く生きようとしている登場人物たちに励まされました」

――映像翻訳フィールドワークに参加しようと思った理由は?
「昨年、映像翻訳フィールドワークに参加していた友人の話を聞いて参加しようと決めました」

「映画の吹き替えや字幕で見かける意訳に興味がありました。直訳と違ってかなり短縮した言い方や表現になるけれど意味は通って納得できるのが面白いなと思ったからです」

「映画が好きなので、この講義に参加することで映画を観るときに何か新しい発見や見方ができるんじゃないかと思いました」

――翻訳するにあたり、どんなことに気をつけましたか?
「初回の講義で、直訳と翻訳の差というものを教わり、単なる直訳にならないよう、言葉選びに気をつけました」

「なるべく人物の見た目や性格に合った一人称を選び、音声と字幕がぴったり合うように意識しました」

「特に注意したことは、実在する人や実際の活動を伝えるということです。限られた文字数の中で、映画を観る人に違和感や誤解が生まれないような翻訳を心がけました」

――印象に残ったシーンや言葉は?
「難民であるという立場から多くの認可証を得なくてはならず、主人公のマリアムの計画が頓挫しかけたシーンは、難民の立場を如実に伝えていると思いました」

「難民の人がケータリングビジネスの仕事を始める前に、『自分たちの住んでいるところは夢も希望もなく、刑務所みたいだ』と表現したところが印象に残っています」

「弁護士の方が難民である主人公マリアムについて語るシーンがあるのですが、『彼女たちにとってはこれが最良の選択肢で、他に道はない』というセリフが、彼女たちの現状がいかに難しい状態にあるのかを表していると感じました。それでも突き進む彼女たちの力強さが印象に残っています」

――翻訳をしていて、大変だったことは?
「受講生およそ30人全員が一つの映画を翻訳する中で、口調や語尾表現がずれてしまうことがよくあり、まずは班の中ですり合わせて、次に教室全体ですり合わせる作業が大変でした」

「前後のつながりを考えながら翻訳をするのが大変でした」

「早口で専門用語を多く使う弁護士のような登場人物の翻訳はどうしても文字数がオーバーしてしまったり、口の動きと字幕のリズムが合わなかったりしてしまいます。そこを上手く調整するのがとても大変でした」

――翻訳をしていて、楽しかったことは?
「翻訳によって生まれる一文がどれほど考察に考察を重ねた上で成り立っているのかを、身を以て体験できたのが本当に楽しかったです。やりがいもありました。」

「複数ある単語の意味を一つずつ照らし合わせ、自信を持てる翻訳ができたときに楽しいと思いました」

「文字制限があることによって、適切な単語を当てはめていくのがまるでパズルゲームの様で、翻訳している時はとても楽しかったです」

――この映画を通して、難民の人たちについてどのように考えるようになりましたか?
「世界にはこんな過酷な環境で生活をしている人たちがいるんだと思いました」

「映画を通して難民の人たちの生活を見て、私たちの生活がいかに恵まれているのかを再確認しました」

「以前と同じく、大変そうだとか辛そうといったことが真っ先に思い浮かびます。けれども、
マリアムをはじめとするとても強い心を持っている人たちも難民の中にはいるんだなと思い尊敬しました」

――字幕制作はあなたにとってどんな経験になりましたか?
「翻訳を通して難民の人たちについて知ることができました。また自分が感じたこと、頭の中で考えていることを言葉にして人に伝えるのはとても難しいことで、それができたことは貴重な経験になりました」

「仕事としてやってみたいと思えるほどに夏休みの集中講義は楽しく、やりがいがありました。
頭の中で思う翻訳業のイメージと、実際に翻訳をする立場に立てたことで得られたイメージの差を知る事ができ、本当にいい経験になったと思っています」

「普段あまり直視しない難民問題を映画の翻訳を通じて少し理解できたかなと思います。翻訳についても全く触れることがなかった知識や情報ばかりでとても新鮮でした。これから、字幕付きの映像を作る機会があれば今回学んだことを活かしてみようと思います。」

――自分ができる難民支援はどんなことだと思いますか?
「募金や寄付など間接的な支援はいくらでもできるのかなと思います。なので、まずは何よりも難民について知ることが大切になってくると思います」

「難民問題を取り上げた映画を観て現状を理解し、それを周りに少しずつ伝えていくこと」

「難民の人たちが置かれている現状を知ること。知ろうとし続けることが大切だと思います」

――最後に、上映会にいらっしゃる方へのメッセージをお願いします。
「マリアムたちの勇姿あふれる姿をご覧ください」

「暗い気持ちになる映画ではありません。何かを始めようとしている人にも、悩んで立ち止まっている人にも勇気や希望が湧いてくる映画になっていると思います」

「私たち学生が夏休みに力を合わせて、作り上げた字幕となっています。今年の4月に翻訳のルールを教わり、約半年かけて作った集大成と言えると思います。ただの和訳ではなく翻訳をしているんだという工夫が伝われば、これ以上に嬉しいことはないです」

明星大学の学生による字幕翻訳は、この特別上映会でのみご覧いただけます。学生たちの成果を見に、ぜひご来場ください。
(文・武村貴世子/国連UNHCR協会 広報委員)