【作品紹介①】グッド・ライ~いちばん優しい嘘~

【作品紹介①】グッド・ライ~いちばん優しい嘘~

「誰かのやさしい嘘で、今日も世界が救われる。」

1000人もの難民たちをリサーチし真実を綴った感動の物語。

1983年に始まったスーダンの内戦によって愛する故郷と家族を失ったこどもたちがいます。彼らは“ロストボーイズ”と呼ばれ、難民キャンプで育ちました。

変化の無い毎日、将来の見えない日々。そんなキャンプでの生活に終止符を打つ知らせが。
アメリカへ第三国定住の機会が舞い込んできたのです。

降り立ったのはカンザスシティ。持ち物は手提げ袋だけ。あとは期待と不安。

3人を迎えたのは職業紹介所に勤めるキャリー。いつもと同じ手順で仕事を紹介して、終わるはずだった―。

ところが、まるで宇宙からやってきたかのような3人にキャリーは四苦八苦。電話の使い方もわからない、彼らに仕事なんて見つかるの?

案の定、就職の面接は大失敗。

「猛獣はいますか?」「あなたに優しい夫が見つかりますように!」3人の口から出るのはまるでとんちんかんな発言ばかり。
なかなか仕事が見つからない3人に手を焼くキャリーでしたが、ピザを奇跡の食べ物だと感動し、教わったばかりのジョークを何度も繰り返しては笑う純粋な3人が気がつけばほっとけなくなります。

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みんなのリーダーで勉強熱心なマメール

温厚で誰よりも優しいジェレマイア

手先が器用で働き者だけどちょっとナイーヴなポール

辛い過去を背負いながらも新しい環境で懸命に生きる3人を見守るうちに友情が芽生えます。

「さようならっていうと死ぬほど寂しい顔をするの」

しかし、優しい瞳の奥には、想像もできないほどの苦しみが隠れていました。
そして笑顔の合間にその深い悲しみが垣間見えるとき、キャリーの心は揺り動かされるのでした。

理解したい、理解できないかもしれない。今私に出来ることは…

そんなとき事件が。あるきっかけから彼らの過去に触れたキャリーは立ち上がります。

それはキャリー自身も思いがけない行動でした…

good_lie_mainAll photos: ©2014 Black Label Media, LLC. All Rights Reserved.

登場人物たちと同じ経験をしてきた元難民の俳優やミュージシャンたちが演じるロストボーイズは物語にさらに現実味を与えています。

マメール演じるアーノルド・オーチェンは2歳のとき父親を亡くし、母親と戦地を逃れてきた経験をもちます。
ジェレマイアを演じるのはロストボーイズの1人で少年兵として戦地で戦った経験をもつゲール・ドゥエイニー。今はモデル・俳優として世界的に活躍しています。
ポールを演じたエマニュエル・ジャルも同じくロストボーイズで元少年兵。その後、苦難を乗り越えラップアーティストとして音楽活動に勤しんでいます。

「幼いころは知らなかった。

世界がこんなにも大きいなんて。

こんなにも自分たちと違うなんて。」

スーダンに滞在中に集中砲火に遭い、強制退去せざるを得なかったファラルドー監督はそのとき死ぬかも知れない人々を置き去りにし、自分たちだけ助かることに罪の意識をずっとかんじていました。『グッド・ライ』の脚本に出会ったとき、「これは自分がやらなくてはならない作品だ」と確信したそうです。

「いまだなおスーダンでは緊張状態が続き、何も解決には至っていないことを知らしめなくてはならない。そして、僕たちが何を彼らに与えられるかだけじゃなく、彼らが僕らに何を与えられるか伝えることも重要なんだ。移民としてではなく、1人の人間としてね。他人を自分の人生に迎え入れるのは大きな賭けだ。でも賭ける価値のあるギャンブルだよ。」―フィリップ・ファラルドー監督(パンフレットより一部抜粋)

これは監督の信念が可能にした奇跡の物語です。


グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~

フィリップ・ファラルドー監督
アメリカ / 2014年 / 110分 / ドラマ