【作品紹介⑨】アントノフのビート
歌と踊り、そして明るい笑い声・・!『アントノフのビート』は治安の不安定なスーダンで人々が音楽を通してつながる様子を伝えてくれるドキュメンタリーです。空爆から逃れるため、青ナイル州とヌバ山脈では多くの人が避難生活を送っています。
題名のアントノフとは、ロシア製の貨物飛行機のこと。アントノフが一般住民に対して無差別攻撃を行う中、音楽は絶え間なく続きます。音楽は単に苦難を乗り越える為だけのものではなく、コミュニティの共通の記憶を保存する重要な役割を担っているのです。
このドキュメンタリーを撮ったハジュージュ・クカ監督は「難民キャンプで見つけた、ありあわせの物を楽器にして奏でた音楽は、まさに私が初めて耳にするスーダン音楽だった。その斬新な音を聴いた途端、恋に落ちた。ああ、これを撮影しないと・・!と思ったんだ。スーダンの音楽ではあるけれど、難民キャンプで育まれたスーダン音楽と融合していて、とてもユニークなんだ。皆がこの音楽の素晴らしさをもし理解できなかったらどうしようかと、それだけが心配だった。」と語っています。(写真下:ハジュージュ・クカ監督)
難民キャンプで集めた皿や古いタイヤなどを楽器に奏でる音楽。躍動するリズムと情熱、苦難の中でも笑いを絶やさない人々の姿をぜひご覧ください!
(ハジュージュ・クカ監督作品/スーダン、南アフリカ / 2014年 / 68 分 / ドキュメンタリー/トロント国際映画祭2014観客賞/日本初上映)