【作品紹介②】ホープ

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【作品紹介②】ホープ

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故郷を後にし、サハラ砂漠をさまようカメルーン人の青年レオナール。

目指すはヨーロッパ。水も食糧も希望も底をつくのは時間の問題…生きるか死ぬかの命がけの旅路です。

そんななか、レオナールは警察にレイプされ砂漠で置き去りにされたナイジェリア人の女性ホープを救い出します。

それはレオナールの運命が変わった瞬間でした。

なんとかたどり着いた砂漠の町。そこでは暴力で支配されたゲットーの世界が待っていました。出身地によって分かれたゲットーではそれぞれのリーダーが定めたルールに従わなければなりません。

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傍若無人なゲットーのルールから抜け出し、再びヨーロッパを目指したふたり。

目を見つめ合えば笑顔がこぼれて、手を取り合って歩けばどこにでもいける気がする。そう、きっとヨーロッパにだって―。

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「自分だけたどり着ければいい」

そう思っていたレオナールは、いつしか「ホープと一緒にヨーロッパで新しい生活を始めたい」と願うようになります。

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「あそこでは蚊だってコーラを飲むんだ」

指さす先はスペイン。これからの人生に希望の光が灯るように夕暮れの異国の街に街灯が灯ります。

後一歩のところまで辿りついた二人を待ち受ける最後の試練とは…


ボリス・ロジュキーヌ監督

『ホープ』について

ロジュキーヌ監督は自身初のフィクション作品となる『ホープ』についてこのように語っています:

「難民や移民が辿る旅路について、ヨーロッパでは連日報道され、信じがたい体験談を見聞きしました。それは、まるで違う世界で起こっている出来事のようですが、まさに今、同じ世界で現実に起こっていることなのです。そして私たちの生活にも関係があります。見て見ぬ振りは出来ませんでした。

難民がヨーロッパをたどり着くまでに、様々な困難に立ち向かうことになります。行く先々には出身地によって分かれたゲットーがあり、それぞれの支配者が掟をつくり秩序を保っています。身の保証の代わりに法外な金額を要求され、女性は体を売って必要なお金を工面することもあります。そんなゲットーの内部を描いた作品をつくりたかった。

ドキュメンタリーではなく、フィクションにしたのはこの信じがたい難民たちの体験の物語性を強調させ、観る人の感情に訴えたかったからです。

ゲットーでキャスティングをし、実際に移民や難民をキャストに迎えることでストーリーに現実味を与えました。セリフもキャストにリアルな言い回しや、スラングを思うように使ってもらうことで、より説得力が増しました。私1人ではここまで作り上げることは出来ませんでした。

『ホープ』はラブストーリーです。でも劇中二人はお互いへの気持ちを表現することはほとんど無く、主にお金や生きるすべについて話しています。過酷な現実の世界にロマンチックな演出など無駄で、非現実的だからです。

これはフィクションですが、そこには目を背けることの出来ない現実が現れています。そして、ただの映画じゃない、と思い出させてくれます。」

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惹かれ合う二人。ともにヨーロッパにたどり着くことはできるのでしょうか。

All Photos: © Pyramide International


ボリス・ ロジュキーヌ監督作品
フランス / 2014年 / 91分 / ドラマ
カンヌ国際映画祭2014批評家週間SACD賞
日本初上映