作品紹介 『女を修理する男』
この作品はコンゴ民主共和国での20年にもわたる内戦中にレイプ被害にあった女性を治療し続ける産婦人科医、デニ・ムクウェゲの姿を追ったドキュメンタリーです。
コンゴ民主共和国には豊かな資源があるのにも関わらず、貧しい生活を送っている人も多くいます。 ムクウェゲ医師は被害にあった女性たちの治療にあたるだけではなく、精神的なケアと啓発活動を通じて彼女たちをサポートし続けます。
2012年には脅迫を受けるなど身の危険を感じたため、国外に逃亡しました。しかし患者たちの要望に応えて翌年にはコンゴ民主共和国に戻ってきました。
ムクウェゲ医師の到着を多くの人が歓迎しました。
ある患者の女性は「ムクウェゲ医師は私にとって父親のような存在。彼によって私は人生を取り戻すことができた」と言います。
彼の啓発活動により、女性たちは自分たちの権利について語ることができるようになりました。
しかしレイプ被害にあった女性たちは多くの場合、家族やコミュニティから排斥されます。その女性たちの心のケアをするためにセンターが設立されました。このセンターでは特別な心理的治療のほかに、性教育や人権教育なども行っています。
ムクウェゲ医師の治療とプログラムを通じ、多くの女性が尊厳を取り戻し始めます。
彼の献身的な活動は高く評価され、欧州議会により2014年にサハロフ賞(人権問題や思想の自由を守るために献身的な活動をしてきた欧州連合(EU)域外の個人や団体に贈られる賞)を受賞しました。
[RFFインターン山口さんの感想]
「女性を守るためには男性が声をあげていかなければならない」というムクウェゲ医師の言葉によって大勢の人が立ち上がり、団結していく様子をみて、一時も早く女性の尊厳を奪う卑劣な行為の歯止めになってほしいと思いました。