上映作品

A. シリア、愛の物語

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監督:ショーン・マカリスター
イギリス / 2015年 / 80分 / ドキュメンタリー
協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭
言語:英語、ペルシャ語

シリアの獄中で出会った2人の活動家アマルとラグダは、壁に開いた小さな穴から互いを励まし合っていた。やがて2人は恋に落ち、出所後には結婚、3人の子どもにも恵まれた。監督ショーンが2009年に彼らに出会ってから5年に渡って記録された家族の肖像から浮かび上がる難民の姿―。そこには紛争に翻弄された男女の愛、家族愛、そして祖国への愛を巡るドラマチックな物語が綴られていた。

B. 海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~

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(日本初上映)

監督:ジャンフランコ・ロージ
イタリア、フランス / 2015年 / 114分 / ドキュメンタリー
第66回ベルリン国際映画祭金熊賞
言語:イタリア語、英語
(2017年2月、Bunkamura ル・シネマにて公開予定)
配給:ビターズ・エンド

地中海に浮かぶ小さな島に暮らす12歳の少年サムエレは、友達と手作りのパチンコで遊ぶのが大好きなどこにでもいる普通の子ども。だが彼が暮らすその島は他とは違う。彼の島、ランペドゥーサ島は、この数十年間アフリカや中東から船でやってくる移民や難民にとってのヨーロッパの玄関口だ。平和と、自由で幸せな暮らしを求め、命がけで海を渡る人々。しかしその過程で多くの人が命を落とす。日々この人道危機を目の当たりにしてきた島の日常に、カメラは静かに寄り添う。

C. ディーパンの闘い

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監督:ジャック・オーディアール
フランス / 2015年 / 115分 / ドラマ
第68回カンヌ国際映画祭パルム・ドール
言語:タミル語、フランス語
配給:ロングライド

主人公は、内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに“家族”を装う元兵士ディーパン。辛うじて難民審査を通り抜けた3人は、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着け、ディーパンは団地の管理人の職を手にする。日の差すうちは外で家族を装い、ひとつ屋根の下では他人に戻る日々。彼らがささやかな幸せに手を伸ばした矢先、新たな暴力が襲いかかる。戦いを捨てたディーパンだったが、愛のため、家族のために闘いの階段を昇ってゆく─。

D. 罠(わな)~被災地に生きる

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監督:ブリランテ・メンドーサ
フィリピン / 2015年 / 97分 / ドラマ
第68回カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞
言語:フィリピノ語
協力:東京国際映画祭

2013年11月、巨大台風の直撃で甚大な被害を受け、多数の犠牲者と被災者を出したフィリピン、レイテ島の海岸に面した都市タクロバン。実際の被災地を舞台に撮影された本作は、心に深い傷を負った生存者たちの交差する人生を描く。家族の死の悲しみが癒える間もなく復興に向けた生活に追われ、人々は身も心も疲弊し切っている。無力感の中、それでも心の正常を保ち、日常を取り戻そうと懸命に生きる人々の姿を丁寧に描いたヒューマン・ドラマ。

E. 今はまだ、帰れない君へ

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(日本初上映)

監督:キャロル・マンスール
レバノン / 2014年 / 42分 / ドキュメンタリー
言語:アラビア語

1948年に故郷を追われて以来、代々シリアに暮らしてきたパレスチナ難民は現在のシリア危機によって更なる避難を余儀なくされた。戦禍を逃れてレバノンにたどり着いた人々は二重の意味で難民となり、パレスチナへ帰郷するという願いは今まで以上に儚い夢となった。本ドキュメンタリーでは、そこから更にヨーロッパへの移住を選択した人たちを含む様々なパレスチナ人へのインタビューから、知られざるパレスチナ難民のおかれた状況を浮き彫りにする。

F. カフェ・ヴァルトルフトへようこそ

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(日本初上映)

監督:マティアス・コスメル
ドイツ / 2015年 / 79分 / ドキュメンタリー
言語:ドイツ語、英語

バイエルンの山岳地帯にある小さな田舎町。古くから観光客たちを暖かく迎え入れてきた山小屋風のホテル「カフェ・ヴァルドルフ」の女将、通称ママ・フローラは、ある時期からアフガニスタンやシリア、シエラレオネからやってきた「お客様」、つまり難民として保護を求めてドイツにたどり着いた人だけを宿泊客として受け入れる事にした。やがてそこは、カフェにやってくる観光客や地元住民と、そうした「お客様」との交流の場となり…。

G. 無国籍 ~ワタシの国はどこですか

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監督:玄真行
制作:NHK、東京ビデオセンター
日本 / 2009年 / 89分 / ドキュメンタリー
言語:日本語

国がない。パスポートがない。学校も仕事も生活も旅行も、常に制限の連続。紛争や迫害を逃れ難民となり、祖国から国籍を剥奪された人々、日本人と外国人の間に産まれた婚外子、ボートピープルの2世。国家と政治と法律の狭間に落ち、取り残されてしまったそうした様々な無国籍の人々―。カメラは自身も無国籍者であった研究者、陳天璽に同行し、人々との出会いの旅から、国籍とは何か、祖国とは何か、アイデンティティとは何かを問いかける。

H. イラク チグリスに浮かぶ平和

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監督:綿井健陽
日本 / 2014年 / 108 分 / ドキュメンタリー
言語:アラビア語、英語
配給:東風

2003年4月、チグリス川周辺を連日襲ったあの激しい空爆の翌日、綿井はバクダッド市内の病院で多くの空爆犠牲者たちと出会った。その時に出会った一家を追い続けた綿井は、開戦からちょうど10年目に再会するはずだった。2013年3月、彼はこれまで出会ったイラク市民の写真を手にバグダッド市街を走り回っていた。開戦前夜、空爆、米軍による制圧と占領、宗派抗争、爆弾テロ―。様々な局面を取材し続けてきた綿井が、彼らの人生の「その後」を追い、戦乱の10年を描き出す。

I. 女を修理する男

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監督:ティエリー・ミシェル
ベルギー / 2015年 / 113分 / ドキュメンタリー
言語:フランス語、英語、スワヒリ語、マシ語
協力:コンゴの性暴力と紛争を考える会

コンゴ民主共和国出身の婦人科医、人権活動家デニ・ムクウェゲの姿を追ったドキュメンタリー。ムクウェゲ医師は第2次コンゴ内戦以来続く戦禍の中でレイプ被害にあった数多くの女性を治療し、彼女たちの精神的なケアと啓発活動にも人生を投じた事が評価され、2014年にサハロフ賞を受賞した。カメラはムクウェゲ医師と彼を支える人々、レイプ被害者の女性たち、そして戦乱の背景にある紛争鉱物の実態にも迫る。

J. ストーム・ストーリーズ ~戦禍を逃れた子どもたち

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(日本初上映)

監督:デヴィッド・メイソン
オーストラリア / 2016年 / 72分 / ドキュメンタリー
言語:英語

戦禍を逃れ、オーストラリアにたどり着いたイラクやシリア、イラン、アフガニスタン、セルビアの子どもたちが通う学校。そこでは子どもたちの傷ついた心を癒すための特別なプログラムが進められていた。祖国を離れる原因となった凄惨な体験、「ストーム・ストーリーズ」を共有し、それを基に一本の脚本を紡ぎ出し、自分たちが舞台で演じるというのだ。熱意溢れる教師やスタッフと共に、子どもたちは悪夢を乗り越え、新しい人生を歩み始める。

K. 国境に生きる~難民キャンプの小さな監督たち

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(日本初上映)

プロデューサー:バフマン・ゴバディ
監督:ハゼム・ホデイダ、バスメ・スレイマン、サミ・ホセイン、ロナヒ・エザディン、ディアル・オマール、デロヴァン・ケハ、マフムド・アフマド、ゾホール・サイド
イラク / 2015年 / 73分 / ドキュメンタリー
言語:クルド語

私たちの生活を知って欲しい―。そう願うクルド難民キャンプに暮らす子どもたちの声に応え、自身がクルド出身の名匠バフマン・ゴバディ監督が立ち上げたプロジェクト。2つの難民キャンプから8人の子ども監督とスタッフが選ばれ、ワークショップを通じて脚本から演出、撮影までを全てキャンプ内でおこない、完成された8本のショートフィルムをオムニバス形式で上映する。子どもたちの視点を通じてクルド難民の置かれた過酷な状況が浮かび上がる。

L. セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター

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監督:ヴィム・ヴェンダース、ジュリアーノ・リベイロ・サルガド
フランス、ブラジル、イタリア / 2014年 / 110分 / ドキュメンタリー
2015年 アカデミー賞®長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート
言語:フランス語、英語
提供:RESPECT(レスペ)/ 配給:RESPECT(レスペ)Xトランスフォーマー

名匠ヴェンダース監督の心を捉えたトゥアレグ難民の盲目の女性の写真―。ブラジル出身の写真家セバスチャン・サルガドは、30代から写真を撮り始めて以来世界中を飛び回り、ユージン・スミス賞をはじめ40年にわたり50以上の報道写真賞を受賞。それらは写真と呼ぶにはあまりにも美しく荘厳であるがゆえに、サルガドは“神の眼”を持つ写真家とも称されている。戦争、難民、虐殺…人間の弱さと闇に向き合い続けた男が、苦しみと絶望の果てに見出した希望とは?

M. ソニータ

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(日本初上映)

監督:ロクサレ・ガエム・マガミ
イラン、ドイツ、スイス / 2015年 / 91分 / ドキュメンタリー
言語:英語、ペルシャ語
2017年日本公開予定(配給ユナイテッドピープル)

タリバンから逃れるためアフガニスタンから難民としてイランへ逃れた少女ソニータ。テヘランのシェルターで教育を受ける彼女の将来の夢はラップ・ミュージシャン。だが祖国に住む親は兄の結婚資金を得る為にと、彼女に政略結婚を命じる。そもそもイランでは女性がソロアーティストとして活躍する事も出来ない。それでも夢を捨てきれない彼女の運命を変える出来事が起きる。果たしてソニータは人生を変えるチャンスをものにする事ができるのか―。