第8回UNHCR難民映画祭は、2013年9月28日(土)-10月6日(日)まで開催します。|8th UNHCR Refugee Film Festival will take from28 September(Sat) - 6October(Sun), 2013.

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第9回UNHCR難民映画祭。詳細につきましては、随時この公式サイトにてお知らせいたします。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

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2014年10月27日 16:27

2014

【ゲストトーク】『ラスト・チャンス』上川あやさん


10月19日セルバンテス文化センター東京で『ラスト・チャンス~LGBTたちの行方~』上映後、世田谷区議会議員上川あやさんがゲストとして登壇されました。(上川あやさんの詳しいプロフィールはこちら
 
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―まず映画の感想をおきかせください。
セクシャルマイノリティーの難民に対するカナダ政府の手厚い支援が実感できて、とても感動的でした。また、印象的だったのはLGBTを支援するカナダの市民社会や市民団体の様々な活動でした。
自分も当事者であるため、この映画を観ることで、自分自身の大変だった経験を思い出しました。性転換手術をするためにシンガポールとアメリカに行くなど、日本はまだセクシャルマイノリティーの社会生活の支援の面において、足りないところが多いのが現状です。

―ご自身も当時者であるとおっしゃいましたが、区議会議員としてどのような思いをもって活動されてきましたか?
議員として仕事するうえで、まずは世間の一般的な常識を鵜呑みにしないことを前提としています。例えば聴覚障害者に対する支援1つとっても、手話通訳者を養成すれば良いという考えがありますが、実際には都の調査でも聴覚障がい者の中で手話が分かる人は20%弱なんです。ですから、世田谷区は、手話通訳者だけでなく要約筆記者の養成も行なうようになりました。
また、大腸がんにより直腸・肛門を手術し、お腹に人工肛門を増設した人が、世田谷区内に700人おります。しかし、公衆トイレの中で、人工肛門をケアできる場所が1ヶ所もなく、トイレの便器の水を何回も流しその中で洗わざるを得なかったなどの体験談を聞きました。そこで、世田谷区の公共施設では、必ず人工肛門を洗えるトイレ設備にしようと提案し、区条例にも反映されました。「埋もれがちな当事者のための環境改善」を常に念頭におき、活動しています。

―上川さんは、映画の中にも出てきたトロントの519コミュニティセンターを訪問した経験がありますね?
はい。日本政府もLGBTの子どもたちの支援を考え始めましたが、その子どもたちの相談に乗るような専門家があまりいないんです。そのため、友人の臨床治療士がトロントで勉強することになった際、私も一緒にトロントの519コミュニティセンターを訪問したんです。
当事者や一部の活動家が中心になっているだけではなく、社会全体を取り巻くようなあたたかい環境のあるコミュニティーセンターでした。

 
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写真右:上川あや世田谷区議会議員 写真左:司会をつとめたUNHCR駐日事務所の進藤

<客席からの質問>

Q  日本のLGBTを取り巻く現状は?主に世田谷区の事例を聞かせてほしい。
日本のLGBTの多くも生きにくさをかかえています。自分らしさを表明することが困難な社会で生きているからです。実際、日本の男性同性愛者・両性愛者を対象とした調査でも、6割以上が自殺を考えたことがあるとのデータも出ています。世田谷区の性差別解消に向けた行動計画「男女共同参画プラン」には「性的少数者の理解促進」という実施項目が明記され、区のホームページには、セクシャルマイノリティーの相談窓口が明示されています。区教育委員会による子どもへの電話相談カードの配布や、性の多様性を踏まえた教育活動も始まりました。セクシャルマイノリティーを支援するために、行政も少しずつ努力しています。


Q.UNHCRがLGBTの難民のために行っていることは何かありますか?
→(UNHCR法務部・進藤)UNHCRはAGDM(Age Gender Diversity Mainstreaming)という考え方を元にして、年齢、ジェンダーに関係なく、難民の多様性を難民の保護・支援に主流化するべく活動を行っています。駐日事務所に関しても、多様性への理解を深めるための積極的な広報、啓発活動を実施しています。

―最後にメッセージをお願い致します。
世間の常識からこぼれ落ちている人が意外に多い。私もその中の一人かも知れません。映画の最後のシーンで、難民認定を受けた人々が市民証書をもらいながら、担当の人から次のようなことを言われました。

「ようこそあなたの国へ。我々はあなた方に同化を求めません。あなた方のありのままでいてください。その多様性こそがカナダをより豊かな国にします。」

このセリフにはとても感動しました。日本が難民問題やLGBT問題対し閉鎖的なのは、日本国民が日本政府に求めないからだと思います。つまり、日本の人々の人権への意識がまだそこまで高くないということだとも言えます。「みんな」が参加してこそ「民主主義」なのではないでしょうか。全ての人がありのままに生きることのできる社会作りのためにみんなで頑張りたいと思います。

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  Photo©UNHCR

上川あやさん、ありがとうございました!

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