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【ゲストトーク】『FCルワンダ』溝辺泰雄 明治大学国際日本学部准教授
『FCルワンダ』上映前に溝辺泰雄 明治大学国際日本学部准教授からルワンダの概要について解説してくださいました。
ルワンダは山の多い国で、千の丘の国と呼ばれていることや、1994年の大虐殺から時間が経過し、復興が進んでいることなどを写真とともに紹介しました。作品に出てくる1965年に結成された古豪のサッカーチーム「Rayon Sports FC」と、 1993年に結成された「APR」という軍のサッカーチームそれぞれの特徴や違いなど、映画を観る前に是非知っておきたい予備知識を伝授。
さらにルワンダの歴史、ツチとフツという民族について、ルワンダの国会議員に占める女性の割合が世界1位である(80議席中51議席を女性が占め、その割合は63%)ことなど、あまり知られていないポイントも解説してくださいました。2008年にジェノサイド・イデオロギー法が制定され、2013年にこれが改正されたことに触れた上で本編の上映を開始。
『FCルワンダ』上映後、ジェノサイド・イデオロギー法がなぜ議論になっているのかに言及されました。ジェノサイド・イデオロギー法が言論活動の封じ込みであると批判しているNGOの主張などを紹介しつつ、具体的に論点がどこにあるかわかりやすく解説されました。
さらにルワンダの大虐殺の解釈についてもMartin Meredith 著の"The fate of Africa"の一部を引用して説明されました。単純にツチ対フツという民族の対立ではなく、政治活動の手段として部族対立が利用されたという見方について話されました。さらにアフリカは宗教や民族の多様性から、紛争は「民族や宗教が原因である」と捉えられがちな点を指摘した上で、世界銀行の統計(「紛争の起きた理由」)を例に、「資源」「外部からの攻撃」「宗教」「民族」以外で多い紛争の原因は「貧困」「不平等、汚職」であり、その割合が大きいことを説明されました。貧困に起因した格差や失業によって、反乱軍やギャングに入らなければならなくなったという負の連鎖があるという見方も提示し、多角的に検証する重要性について語りました。
最後に、ルワンダ国内で誰かがその思いを「語ること」が他の人を触発し、語りの中から真の和解が生まれるのではという作品中の言葉を改めて提示し、講義を締め括りました。
溝辺先生、どうもありがとうございました!
Photo: (C) UNHCR