第8回UNHCR難民映画祭は、2013年9月28日(土)-10月6日(日)まで開催します。|8th UNHCR Refugee Film Festival will take from28 September(Sat) - 6October(Sun), 2013.

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第9回UNHCR難民映画祭。詳細につきましては、随時この公式サイトにてお知らせいたします。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

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2014年10月15日 12:01

2014

【ゲストトーク】『ボーダー』主演ダナ・ケイラニさん


10月11日(土)難民映画祭初日の『ボーダー~戦火のシリアを逃れて~』上映後に主演女優のダナ・ケイラニさんを招いてトークイベントが行われました。
(ダナ・ケイラニさんの詳しいプロフィールはこちら

また、NHKの二村伸解説委員にも登壇いただき、シリアの現状についてお話を伺いました。
モデレーターを務めたのはUNHCR駐日事務所の守屋由紀広報官。

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―シリア生まれでイタリアに移住してきたダナさん。今回は初めての作品でシリアを逃れる姉妹の姉役という難しい役を演じましたが、演じてみてどうでしたか?
ダナ「今まで一度も演技をしたことがなかったので、最初は恥ずかしいと思いました。しかし演じることで、ふるさとで起きている悲劇を知ってもらえるなら、それは素晴らしいチャンスだと思いました。そのような機会を与えられてとてもうれしく思っています。」

二村さんは先日、映画の中でアヤが目指したボーダー(国境)を取材で訪れましたね。その経験も踏まえ、映画をご覧になった感想をお聞かせください。
二村「映画を観て、ごくふつうの、何の罪のない市民がある日突然、家を追われる。私たちにも起こり得ることです。フェンスの国境のシーンが印象的でした。あの国境へはトルコ側からは簡単に行けますが、シリアからは映画にあるように非常に困難な道のりで、フェンスを隔てて全く違う世界が広がっています。アヤが国境に着いても後戻りするシーンがありましたが、家族や大切なものを置いていくことに対してのためらいが描かれているように思いました。」

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―ふるさとはシリアとイタリアの両方だというダナさん。2011年3月からシリアでの対立が始まる以前は両親がいるシリアのダマスカスを年に一回は訪ねていました。家の近くが空爆されるようになり、両親はイタリアに移住してくることになりました。
ダナ「一年前、両親はイタリアに戻ってきました。市内の空爆により、電気の供給が止まり、食糧もなくなり、父は特別な薬が必要なのですが、それも手に入らなくなりました。ただ牛乳を買うために、何回も検問で止められ、6、7時間はかかりました。そのような状況で、イタリアに移住することに決めました。母の親戚の中には、絶対にシリアを離れたくないという人もいましたし、2人のいとこが亡くなりました。」

―イタリアに避難してきたのはご両親の他にもう一人いらっしゃいますよね。今回の映画に出てきた小さな女の子です。
ダナ「彼女は私の従妹です。2年前シリアからローマへ避難してきました。それまで紛争下のシリアで暮らしていましたが、その時の思い出が消えず、今でも飛行機の音がすると脅えて、床に伏せたり、叫びだすことがあります。でも彼女が映画に参加できたことは、すばらしいことでした。彼女は完璧に役をこなしました。時々、チョコレートをあげないといけませんでしたが。」
「撮影自体が私にとってもすばらしい経験になりました。イタリアではあまりシリア人に会うことはないのですが、撮影を通じて多くのシリア人と知り合いになりました。彼らの一人一人がつらい経験をしています。今、シリアで起きていることはとても受け入れられることではありませんが、他にも同じ境遇の人たちがいると知って、少し癒されました。このようなすばらしい機会を与えてくれた監督のアレッシオ・クレモーニと難民映画祭の方々、そして今日来てくれた皆さんに感謝します。ありがとうございます。」

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【フロアからの質問】

―内容から考えて、おそらく低予算でつくられた作品だと思いますが、撮影には何日ぐらいかかったのでしょうか?
ダナ「撮影期間は45日で、ローマ周辺で撮影されました。シリアで撮影された映像は購入したものです。でも撮影に参加したのは全てシリア人です。私たちのほかにも学生や観光客など、ふるさとを表現したいという1つのゴールに向かって撮影に取り組みました。」

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―本物のアヤには会いましたか?
ダナ「いいえ、実はまだお会いしたことがないです。監督はアヤに会ったそうです。私はたまたまチャリティーイベントで出会った監督に、この役を与えられたのですが、これまでアヤに会う機会がありませんでした。でも本当に会ってみたいと思います。」

―映画で姉妹が周囲に反対されてもニカブを絶対にとろうとしないことについて伺いたいのですが、なぜそこまで頑なにニカブを取ろうとしないのでしょうか?
ダナ「宗教上の理由でニカブは家族の前でしかとりませんが、まずシリアではニカブを被る女性は、3%ほどしかいません。だからこそ姉妹は周囲に怪しまれたのだと思います。これがたとえばサウジアラビアやイラクだったら、変には思われなかったでしょう。皮肉なことに映画ではニカブはある意味アヤを守ったとも言えます。また、アヤにはレイプされた過去がありますからニカブで顔を覆うことで自分を守っていたのだと思います。」

―シリアは遠くの国という印象がありましたが、映画の中の森のシーンなんかは日本の森にとても似ているように思いました。実際にはどうなのですか。
二村「シリア北部にも砂漠はあります。一部緑があり、山岳地帯もあります。国境近くでは10ドルで難民を国境の向こう側に渡すことを職業にしている人々もいます。」


ダナ「撮影はイタリアで行いました。予算や安全面の問題から、シリアでは撮影ができなかったからです。イタリアの中で似たような場所を探しました。全く同じにはなりませんが、なるべく現実に近い場所を探しました。」

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―最後に日本にいる私たちに何ができるのか、お聞かせください。

ダナ「世界には5100万人の難民がいて、そのうちの300万人がシリア人です。こういった事実を広めて、話し合ってほしいと思います。または寄付を募ることもできます。ただこういうことが起きている、その事実についてまず知って、話し合ってほしいと思います。犠牲になっているのは子供たちで、私たちの未来です。」


二村「まずは知ること、関心を持つことからだと思います。寄付をすることもできますし、難民キャンプに衣類を送ることもできます。まずは関心をもつことです。日本にも難民認定を待っている人々がたくさんいます。まずは身近にいる人たちを助けることから始めるのがいいと思います。」

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ダナさん、二村さんどうもありがとうございました!

Photo: ©UNHCR
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