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【作品紹介】無国籍を生きる
「無国籍」と聞いて何を思い浮かべますか?
パスポート、保険証、出生証明書、住民票...何一つ持っていないとしたらあなたはどうしますか?
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無国籍であることは国籍を持たないことです。どの国からも国民として認められず、無国籍者は日々様々な困難に直面します。教育、就職、国民保険のサービスなど...人間が生まれながらにして守られているはずの人権や自由、生活を保障してくれるような国家の後ろ盾がなく、不安定な状況におかれます。
日本ではあまり知られていない「無国籍者」の存在。
なぜ「無国籍」になるのか?
「無国籍」とは一体どのような状態なのか?
無国籍問題について詳しくはこちら
『無国籍を生きる』は知られざる無国籍者の実態を追ったドキュメンタリーです。
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このドキュメンタリーの監督とプロデューサーのインタビューをご紹介いたします。
ヴィラ・ソミア (Vila Somiah) 監督
アズリアナ アジィズ (Azliana Aziz) プロデューサー
-この映画について教えてください。ドキュメンタリーをつくろうと思ったきっかけは何ですか?
ヴィラ:きっかけは私自身がサバ州出身だったということだと思います。子どもの頃、町の生鮮市場に行くとフィリピン人やインドネシア人の子どもたちをよく見ました。彼らは市場、母親を手伝ったり、仕事をしていたりして、ずっと市場にいました。「あの子たちはいつ学校に行くんだろう?」「なぜ学校に行かないのだろう?」と子どもの頃から不思議に思っていました。
アズリアナ:大学で知り合ったヴィラがその話をしてくれましたが、私はそのときサバにいる無国籍者について一度も聞いたことがありませんでした。そもそも「無国籍」という概念自体が私には新しいものでした。無国籍者の存在が信じられず、たくさんのマレーシア人に聞いてみましたが、彼らもやはり無国籍者について知りませんでした。ネットなどを利用して本格的に調べてみると、サバには本当に無国籍の人々が住んでいるとわかりました。しかし、マレーシア人の誰もそのことを知らないのです。私たちはこれは問題だと思いました。
ヴィラ:私は長い間、自分のルーツであるサバについて探っていました。サバを語るときフィリピンやインドネシアからの無国籍者の存在を無視することはできません。無国籍は色々な意味で慎重に扱わなければならない問題ですが、このあまり知られていない問題についてドキュメンタリーをつくれないかと思ったのです。
-ドキュメンタリーは無国籍の家族を追いかけていますね。無国籍者の生活について教えてください。
アズリアナ:彼らはその日暮らしの生活をしています。とても不安定な生活です。路上で暮らしている人がほとんどです。浜辺にテントを張って暮らしている家族もいました。
-無国籍ということは身分を証明する法的な書類をもっていないということですから、仕事に就けないし、子どもたちは学校に行けないということですね
アズリアナ:ええ。それにほとんどの人は読み書きができません。
ヴィラ:医療問題もあります。私たちは、お金がなかったとしても、公共の病院に行けばなんらかの治療は受けられます。しかし彼ら無国籍者は、たとえお金があったとしても、治療を受けることができません。無国籍者にとってはすべてが困難なのです。
-無国籍の問題はみんなが知るべき問題だということですね。
ヴィラ:無国籍の問題について考えることがとても重要だと思います。この問題は全ての人に関わる問題です。彼らも私たちも同じ人間です。誰もこんな苦しみを味わいたくはありません。彼らがそのような立場に置かれていることをとても不公平だと思います。
All Photos: © Matt Fillmore
『無国籍を生きる』
ヴィラ・ソミア、マシュー・フィルモア監督
マレーシア / 2014年 / 50分 / ドキュメンタリー
日本初上映