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【作品紹介】金の鳥籠
なぜそこまでして少年たちは北を目指すのか――
グアテマラのスラム街。
肩まで伸ばした美しい黒髪を、思いつめた表情で切り落としていくサラ。鏡には変わり果てた自分の姿が。でも映りこむその瞳に迷いはありません。
生まれ育った町に心の中で別れを告げ、一言も言葉を交わさずただ一心に歩き出す少年と少女。
目指す場所はただひとつ。そこに向かうため、北へ北へ進みます。
それが、命をかけた危険な旅だということを忘れてしまいそうな少年たちのあどけない笑顔。
新しい仲間との出会いと友との別れ、そして幾多の試練を乗り越えていきます。
旅の途中、メキシコ南部でチアパスの先住民の少年チャウクに出会います。スペイン語が話せないチャウクとは言葉は通じないものの、同じく北を目指す仲間として心を通い合わせます。
黄金の国で成功を夢見るフアン。
自分の居場所を探すサラ。
「雪」に憧れるチャウク。
道のりがどんなに過酷でも3人を突き動かすのは必ず目的地にたどり着けるという自信と希望。
しかし、待ち受けるのは、想像を超える残酷な結末でした。
ラストシーン、その旅路の果てであなたは何を思いますか?
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この映画は、実際に国境を超え、アメリカを目指した何百人もの人々の証言を基に、当事者の目線でつくられた真実のドラマです。
映画の主人公たちのようにエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスからアメリカへ不法に入国する保護者のいない未成年者が後を絶ちません。UNHCRの報告によると、アメリカで保護された同3国出身の未成年者の数は2013年度には2万1000を上回りました。また、メキシコ出身者だけでも、同年1万9000人近くの未成年者がアメリカで保護されました。
こうした未成年者は非常に危険な状況に置かれる場合が多く、国際社会の保護を必要としています。
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作品名の「金の鳥籠La Jaula de Oro」とは、大きな夢を抱いてアメリカへ渡った不法移民者たちが自らの運命を嘆き、捨てたはずの故郷を想う、同名のメキシコのフォークソングから生まれた言葉です。
その一節をご紹介します。
"La Jaula de Oro" Los Tigres del Norte
De que me sirve el dinero,
si estoy como prisionero,
dentro desta gran nacion,
cuando me acuerdo hasta lloro,
aunque la jaula sea de oro,
no deja de ser prision
この偉大な国でお金は一体なんになるだろう、
囚われの身なのだから
涙がこぼれるのは今でも思い出すから
たとえこの籠が金色に輝いていたとしても、
外に出ることが出来ないのなら、ただの鳥籠でしかない
All Photos: ©Films Boutique
『金の鳥籠』
ディエゴ・ケマダ=ディエス監督
スペイン、メキシコ / 2013年 / 102分 / ドラマ
第66回カンヌ国際映画祭ある視点部門
日本初上映