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【明治大学:『無国籍を生きる』 特別上映会】
12月13日(土)明治大学、和泉キャンパス で映画『
無国籍を生きる』特別上映会を行ないました。この作品は第9回UNHCR難民映画祭の上映作品の1つで、フィリピンからマレーシアのサバ州に逃れてきた家族の姿を追ったドキュメンタリーです。
上映前に鳥居高 明治大学教授が作品の舞台となるマレーシア・サバ州東海岸の"ラハダトゥー"という場所はどこに位置するのか、サバ州の地理、民族構成と歴史、言語と宗教などについて説明されました。上映終了後に鳥居教授が再度登壇し「なぜセレベス海に面しているマレーシアのサバ州に、フィリピン出身で"バジャウ"と呼ばれる人々が無国籍状態で生活しているのか」というテーマでより詳しく講義を行いました。
講義は主に「なぜサバ州にフィリピン出身者がいるのか」「サバ州の歴史」「フィリピンからの移住はどの様な経緯で行なわれたか」など、映画を観た後にわいてくる問いに焦点を当て、わかりやすくお話しされました。
また「マレーシアにおいて国籍は出生地主義です。本来的には移民は国籍を得やすい条件になっています。しかし、この国における国籍の問題を複雑化させているのは、マレーシア国籍者を民族で分類し、"ブミプトラ"(マレー人と先住民のオランアスリがこれに属する)とよばれる人々には「特別な地位」が憲法によって規定されているからです」と説明されました。その上で、この民族区分には法律的定義があるわけではなく、時に政治的に利用されてきた背景もあることなどをお話しされました。
さらに鳥居教授は「東南アジアはもともと海でつながっている1つの世界でした。そこを国境で区切り、メンバーシップ、つまりそれぞれの国の国籍というものを持つようになったのです」と語り、東南アジアの文脈で無国籍の問題を捉えるとき、その背景に人々が自由に行き来してきた地理的要素を考慮する必要がある点に触れました。
最後に主催者であるUNHCRのスタッフが、今後も無国籍の問題に関心を持ち続け、今日映像を通して知ったことも是非周りの人と共有して頂きたいというメッセージを伝えました。
会場募金にもご協力頂きました。どうもありがとうございました!
©UNHCR